日記:2018-04-09

Netflixアニメ批評: B:The Beginning

正直微妙。一見、サイコホラー風味の革新的な表現に挑戦した風を装いつつ、全く何の挑戦もしていない凡作になってしまっていると感じました。

つ~かこの落ち&ストーリー展開だとマーケットメイカー達の設定自体が要らなくね?ダブル主人公の体を装っていますが、明らかに少年主人公の黒羽さんは居ても居なくても話が成り立っていますよね?1話だけ思わせぶりに黒羽さんと敵との超人バトルで盛り上げ様とはしてますが…3話以降からは完全に本主人公であるキースとギルとの犯罪頭脳バトルで進んで行くだけで、マーケットメイカーの連中は完全に余分な要素と言うか、ギルが楽に証拠隠滅出来るためだけに設定された便利な超人奴隷としての役割しか演じてない。

要するに物語の中での蓋然性が全く感じられない、ただの「クリアに必要なアイテム」と化している。こんな風にしか描けないのであれば、もっとベタにギルの患者の一部に麻薬的な薬剤が投与されていて、その影響で実質何でも言いなりになる奴隷状態のジャンキー患者が何人も病院内外に囲われており~みたいな設定の方がよっぽど自然で説得力があります。

とにかく黒羽さんも含めて、マーケットメイカー達の存在自体が全く響いて来ない。ただそこに居るだけのモブキャラ以下の存在感しか無かった。キース対ギルの8年越しの戦いは非常に面白かっただけに、ちょっと奇をてらい過ぎて失敗してしまったかなあと思います。残念…!

Netflixアニメ批評: A.I.C.O. Incarnation

ちょっと無難なきらいもあるけど、全体的には良くまとまっていて後味も悪くないし良かったと思います。惜しむらくは落ちと言うか、ヒロインであるアイコ氏が何故に危険な原点へ決死の覚悟で向かわなければならないのかが、全て言葉で説明されており映像で感覚的に分かり難い事かな。これはラストのどんでん返しの核にもなるため、この印象が薄いと感動が薄れてしまいます。幼稚園児でも分かる様な映像シーンは重要です。

それに中盤でクルーの皆んながアイコ氏が普通の人間では無いと気付くシーンのキッカケとなる、エリア内でのスーツ&ヘルメット無しで大丈夫~のシーンも、wiki的には恐らく「エリア内には高濃度マターが充満しておりこれを直に人体内に吸気すると危険!」みたいな理由だろうと思うのですが…そういうのって映像で一切描写されて無いですよね?なのでいきなり劇中キャラから言われても視聴者側としては「あれ?そうだっけ?」としかならないのです。

こういう場合は柿崎ポジの捨て石キャラを最初から用意して置き、不注意な事故でそういった作中タブーをハッキリと視聴者の記憶に映像として印象付けて置く事が重要です。

まあでも全体としては非常に良くまとまっており、筋立ても最終的には因果応報に帰結する様になっており、またキャラデザインも新し過ぎず古過ぎず万人受けする様なデザインに熟れていて良かったと思います。話自体は完結しましたが、機会があれば彼ら彼女らのその後を見てみたいと思わせる魅力ある話になっていたと思います。合格!

P.S.
最終ラストシーンをあそこで切るのであれば、最後にアイコ氏が再登場するシーンでは髪型とか、或いはぶっちゃけ全身義体を完全に別人風にしてた方がより強い印象を視聴者に残せるのではないかなと思います。本当に別人の人生を歩むのか、それとも…みたいな想像を激しく掻き立てる事が出来るので。あの演出だとちょっと弱い。